省エネキャンペとCO2
住宅省エネ2023キャンペーンと銘打たれた3省連携の巨額補助金(「先進的窓リノベ」「こどもエコすまい」「給湯省エネ」)が業界では話題になっております。
どうして住宅や設備に対して手厚い補助金が用意されているのでしょうか?今回はその辺についてみていきたいと思います。
全世界的に温暖化防止のため各国CO2削減について目標値を掲げています。日本は2030年までにCO2の46%削減。2050年までにカーボンニュートラル(CO2の排出と吸収の収支がゼロ)の実現を目標としています。
実際の日本国内の全CO2排出量をみてみると、住宅や建築物を利用することによるCO2の排出量は、家庭で16%、業務その他で17%。合わせて33%となり全体の1/3に当たり、大きなウェイトを占めるのです。
また、住宅・建築物は一度建築されると長期にわたって使用され影響をもたらすため、初期の建設時の計画においての対策や適切な改修が重要です。
スクラップ&ビルド(建物は使用時だけでなく、建設・取壊し時にもCO2を排出しています※)を止めて建物の長寿命化を図り、資源の消費や産業廃棄物の排出抑制を目指すことが求められています。
※CO2排出量は、活動量とそれに伴う燃料等の消費量から算出できます
次に家庭内のCO2排出量に目を向けてみると、下図のような内訳になります。
環境省HPより
排出量1位が照明・家電製品等で46%、次いで給湯24%、暖房22%の順になります。
照明・家電については自動車含め様々なものが含まれますので一概に対策は難しそうですが、2位の給湯に関しては高効率給湯器(エネファーム、エコキュート、ハイブリット式)に替えることで対策ができます。3位の暖房に関しては、住宅の断熱性能を向上させることや高効率の暖房機器に替えることで対策ができることになります。
ここで今回の住宅省エネ2023キャンペーンにつながる訳ですが、
「先進的窓リノベ」・・・住宅の最大の熱損失部分は窓からになりますので、断熱性能を上げるには窓を改修することが1番効果的です。
「給湯省エネ」・・・家庭内CO2排出において給湯器は大きな割合を占めていますので、高効率機器への変更を推奨しているわけです。
「こどもエコすまい」・・断熱改修やエコ設備(高効率設備)が必須項目となっています。
それぞれ住宅におけるCO2排出の大きな割合を占める部分に合わせた補助金制度となっておりまして、補助金の総額1000億円と合わせて政府の本気度がうかがえます。
住宅の改修を行えば、単にCO2の削減ができエコに貢献できるだけはもちろんありません。暮らしも向上することになります。
断熱性能の向上によってエネルギー消費が少なくなれば、冷暖房光熱費が抑えられますし、夏の暑さや冬の寒さが軽減されます。
高効率の設備導入はエネルギーの消費量に直結しますので、冷暖房光熱費の削減に期待できます。
光熱費等のランニングコストは目に見えにくい部分ではありますが、計算ソフトにより算出でき光熱費がどの程度抑えられるかを数字化できるようになってきていますので今では設計時の重要な検討材料の1つとしています。
消費者の皆様にとっても補助金を利用した改修の好機であり、快適な住まいを整える機会になりますので是非チェックしてみてください。
今回は住宅省エネ2023キャンペーンに絡めてその背景などをまとめてみました。
以上、A型さん でした。